次世代バイオディーゼル“MHF”(Micro-emulsified Hybrid Fuel)

化学反応を一切用いず、植物油のグリセリンも丸ごと使用する事前改質法

1.プラント価格はFAMEの3分の1以下
2.製造価格は1g当たり10円以下
3.長期安定性、熱安定性が抜群
4.コンパクトで現場オンサイト運転可能
5.菜種、大豆、パーム、ひまわり等あらゆる植物油に使用可能
6.加水燃料の製造も可能*
  * 加水燃料は、船舶、発電機等の大型ディーゼルエンジン用燃料として使用

MHF100走行車(燃料切替装置付き) 世界中のあらゆる植物油


従来のバイオディーゼル燃料(FAME:脂肪酸メチルエステル手法)

燃料噴射特性改善の為、化学反応により植物油中のグリセリンを除去する
以下の欠点があり使い難い
1.高い製造プラント
2.高い製造コスト (1g当たり20から50円)
3.燃料の劣化が早く長期保存に耐えない
4.グリセリン、排水等排出物処理が必要



シリンダ内におけるMHF使用時の燃料噴射状況

 

シリンダ内における軽油の粒径分布イメージ

上図は軽油使用時の高圧噴射モデルですが、MHFはグリセリンを含んだ植物油でも、
同様に微粒子化して燃料噴射が可能
左写真は
パーム油を原料としたMHF50での燃料噴射特性試験


性状分析結果

本手法は化学反応を用いないので植物油の基本的性状に大きな変化が無いのが特徴である

〔分析結果の1例〕

  廃食油(処理前) 廃食油(処理後)
密度 15℃ g/cm3 0.9264 0.9263
引火点 (PMCC) ℃ 222 202
動粘度 (Kinematic) cSt,50℃ 26.42 26.07
水分 (Karl-Fischer法) 0.38 0.23
硫黄分 wt.% 0.06 0.05
流動点 ℃ -5.0 -7.5
残留炭素分 wt.% 0.41 0.38
灰分 wt.% 0.01以下 0.01以下
90%流出温度 ℃ 測定不能 測定不能
セタン指数 測定不能 測定不能
発熱量 Cal./g  10,550 10,570
発熱量 J/g 44,180 44,250


酸化値 酸化安定度
製造後9ヶ月経過しているにも関わらず規定値を大幅に下回っており、大変安定した状態を示している ランシマット試験による加速劣化モードにおいて、EN規格の6時間以上に対し、16、8時間と3倍近い安定度を示しており、高温時の劣化が極めて少ないことを証明している
MHF割合に対する動粘度と流動点  
MHFの最大の課題は粘度が高いことにあるが、軽油と混合使用することで大幅に改善できることを示している
このデータの原料油はパーム油であるにもかかわらず、MHF50は十分な特性を持っている
MHF使用時の長期信頼性試験 エンジンを分解して異常の無いことを確認


導入をお勧めするお客様

1.自分で安価な植物油を入手できる
  ・バージン植物油がベストだが、廃食油も使用可能*
    *性状により、十分な洗浄精製装置(前処理)が必要
2.製造した燃料を自ら消費できる
  ・軽油との混合比率を50%程度に設定し、大幅コストダウン可能

    *公道走行車両は混合使用の場合、軽油引取税の支払いを要する(日本国内)
3.重機、農機、発電機等への適用が可能
  ・黒煙が抜本的に減少し、燃料消費量もほとんど変わらない



日本での導入例

その1.重機のMHF燃料として廃食用油を利用、コスト削減とCO2削減を達成

その2. 大規模MHF製造設備

原料植物油の受け入れ、前処理設備 1時間あたり製造能力1000リットルのユニット
上記製造ユニットの収納建屋 製造したMHFの供給設備


MHFが実現する近未来バイオ燃料

非食用油を大量に生産するJatropha栽培とMHFにより、人類は枯渇する事の
 無い緑の油田を手に入れることが可能
・既に技術的検証は完了し、動力特性、排気ガスも軽油と遜色がない
・小型MHFマシンにより、Jatropha栽培地でのオンサイト運転が可能
・製造コストが極めて安価なMHFとの組み合わせにより、農業機械、発電、トラック、船舶などの
 あらゆるディーゼルエンジン燃料として使用可能
・荒地でも栽培可能なJatrophaにより地球上砂漠地帯の緑化も実現可能

栽培中のJatropha
植え付け後1年目から収穫可能
Jatropha種子の搾油機
この後脱ガム処理を経て原料油となる
オンサイト用小型製造ユニット(50/h) 運転中の発電機付き農業用トラクター
Jatrophaの苗 成木したJatropha


精密測定(供試エンジンは船舶用小型直噴単気筒ディーゼルエンジン)

・Jatropha油を原料としたMHFで、極めて優秀な結果を確認した

(1)「MHF50」(軽油50、植物油50)の燃料で、低負荷から最大負荷の全域で軽油100%とほぼ同等の燃料消費量
(2)排気ガス性状(NOX、黒煙、HC、CO、CO2)も良好

動力測定装置付きエンジン 排気ガス連続測定装置